第4部氷河期世代(1)もがく30歳、寒風今も(働けない若者の危機)
1月13日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。
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第4部氷河期世代(1)もがく30歳、寒風今も(働けない若者の危機)
就職氷河期から10年あまり。
そのさなかに卒業を迎えた世代を若者と呼ぶのはためらいもある。
しかし社会人になりきれない人が多いのも確かだ。
今も悩み、もがく姿に若者の雇用難を放置することの危うさがみえる。
◇壊れたレール
新卒時の就職活動がうまくいかず、2000年に福岡から上京した秋本卓也(仮名、35)。
派遣社員としてIT(情報技術)関連の会社を転々としながら正社員の職を探し続け、12年がたった。
「非正規の経験しかないのが原因かな」
日本経済の長期低迷が明白になった1995年から10年ほどの間、大卒の有効求人倍率は1・4倍を割り込んだ。
産業界が軒並み、新卒採用を極端に絞ったためだ。
いわゆる就職氷河期だ。
学校を出て正社員になり、終身雇用を前提に結婚し、家族をつくる――。
当たり前だった人生のレールが初めて壊れた世代といえる。
多くの大学生がやむなくフリーター、派遣など非正規労働の道を歩んだ。
北海道の大学を03年に出た島中忠明(仮名、33)は派遣労働者として工作機械や自動車部品などのメーカー7社を渡り歩いた。
最初の会社の月給は約25万円だったが、今は22万円程度だ。
非正規は年功賃金の恩恵を受けにくい。
20代前半で正社員の8割強だった賃金水準は40代後半になると半額にまで格差が広がる。
厚生年金は5割が加入対象外で、9割の人は退職金をもらえないなど老後の備えも薄い。
安全網も心もとない。
雇用保険外の非正規労働者が求職中に月10万円の生活費をもらえる制度は11年にできたものの、再び労働市場に戻すための支援策は不十分だ。
新卒時に厳しい就職戦線を勝ち抜いた人にも「新たな冬」が襲いかかった。
「割を食った世代かも」。
伊藤史郎(仮名、33)が日立製作所に入社したのは02年春。
総合電機の最大手に入社した勝ち組、のはずだった。
翌年配属された三菱電機との半導体部門統合会社ルネサスエレクトロニクス(当時はルネサステクノロジ)は経営危機に陥り、昨年10月の早期希望退職で全社員の2割が会社を去った。
今は35歳以上という非公式の早期退職枠の対象外だが、再建が進まなければ、次は自分も対象世代に入ってくるとの不安が募る。
◇日本に見切り
新卒一括採用の慣行が根強い日本の労働市場では、一度就職でつまずくと専門技術や技能を持った人を除けば再就職の道は狭い。
そんな日本での仕事に見切りをつける氷河期世代も出始めた。
大学卒業後、食品会社に正社員として就職した武田段(31)は2年目に経営悪化でリストラされた。
「仕事がなければ海外に出るのも一つの手段」
とシンガポールで花屋を開業。
飛び入り営業で販売先を開拓した。
今では欧州有名ブランド店のショーウインドーに武田の店の花が飾られる。
06年の第1次安倍晋三内閣では厳しい雇用環境にあえぐ若者らの「再チャレンジ支援」が看板施策だった。
だがフリーターをピークの03年比で8割に減らす目標は84%で未達のままだ。
目標に含まれない35歳以上では5割増の44万人になった。
今の雇用慣行では30代後半から再就職のハードルは一気に上がる。
その高齢フリーター層に氷河期世代が入り始めている。
彼らの再挑戦を受け止める雇用・労働環境をつくることは、新政権にとって最優先の課題のひとつだ。
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氷河期世代の就職難。
ここ最近、問題視されたのでしょうか。
転職市場においては、35歳までは一区切りと言われています。
35歳を過ぎると非常に転職がしづらくなります。
簡単に言えば、求められるスキルのレベルが一気に上がるのですよね。
今の時代は、どんなに大手企業であっても、年齢を重ねると安心できない状況にあります。
それを打開するには、やはり自分の力をつけるしかありませんよね。