夢や目標を与えればモチベーションが上がるわけではない:人事目線での現場のリアル
適性検査を用いて新卒・中途採用や組織変革を支援していると、様々な人間模様が見えてくるもの。
理想と現実、本音と建前、机上の理論や綺麗ごとなど…。
経営者の思惑と現場の気持ちが乖離している事なんて、日常茶飯事。
今回は「夢や目標を与えればモチベーションが上がるわけではない」という話。
人事目線での現場のリアルを、代表の尾登がお伝えします。
成功者の声や様々な書籍を読んでいると、よくこんな言葉を目にします。
「夢や目標持たせることで、従業員のモチベーションをあげる」
なんて。
これ、半分正解で半分間違いだと思うんですよね。
そりゃあ人間、夢や目標などやりたいことが見つかって、それに向かって努力すれば人生も楽しくなりますよね。
でもね、そんな人間なんて数多くないんですよ、実際。
やりたいことなんて分からない、年齢的に厳しい、収入が低くてそんな余裕ない、家族を養わなければならない…。
理由を挙げれば、キリがないわけで。
お金を儲けられれば何でもいい…って思っている人だって、多いんじゃないですかね。
そういう風に思っている人間に対して、いわゆるやる気に満ち溢れている人は、まさに自分の価値観を押し付けるが如く、
「夢!夢!夢!目標!目標!目標!」
という言葉を発信してくる。
それで気がめいる人、いるんだって。
もっとも、他ならぬ自分もそんなやる気に満ち溢れていて、価値観を押し付ける側だったんですけどね笑
経営者や上司と言うのは、夢や目標を持って生きている人ばかりではないってこと、理解しないとダメってことです。
人それぞれ価値観があって、それに従って生きている。
夢や目標なんかよりも、アニメを見るのが生きがいだったりする人もいる。
仕事よりも、プライベートを重視する人がいるってことです。
そんな人に対して、夢や目標を語っても逆効果。
モチベーションなんて、上がらないんです。
もちろん、その価値観を変えたり、ブラッシュアップすることはできます。
夢や目標を与える事で、モチベーションが上がるようにする事は可能です。
コミュニケーションを取ったり、書籍を読ませたり、外部の人と引き合わせたり。
新たな情報を得る事や色々な交流を持つことで、刺激を与えてあげる。
そうすれば、価値観に変化が出てくるんですよね。
それすらも求めない人も大勢いる。
めんどくさい、行動を起こしたくない、今のままで良い…。
そこまで言われてしまったら、自分で変わってくれるのを待つしかないですね。
人それぞれ価値観は違います。
夢や目標を与えれば、モチベーションが上がるわけではないのです。
その人にとって、重要視しているポイントは違います。
やりがいなのが、お金なのか、人の上に立ちたいのか、自分を認めて欲しいのか。
はたまた、人間関係の良好さなのか、マンネリではなく変化のある職場なのか。
それを把握する事が一人ひとりを尊重する事につながり、モチベーションアップにもつながってくることなのですよね。
夢や目標を与えれば、誰しもがモチベーションが上がるというのは間違いです。
そういうことには興味が無い人もいるという事を、理解しないといけません。
優秀な人材であればあるほど、その点を理解しようとしないというか、見落としがちなんですよね。
世の中の皆が皆、前向きに生きているわけではないのです。
前向きに生きていなければ仕事を真面目にやらない…というわけでもなかったりします。
色々手と尽くして無理ならば、場合によっては採用基準を改める必要があります。
会社に合った人材を採用できていない…ということですからね。
自社に合った人材と働けないというのは、会社にとってもその方にとっても、不幸な事ですしね。