「適性検査の結果がA判定だから」という理由で採用するベきではない:人事目線での現場のリアル
適性検査を用いて組織のコンサルティングをすると、様々な人間模様が見えてきます。
今回は「『適性検査の結果がA判定だから』という理由で採用するべきではない」という話。
ヒトが複数集まれば、育ってきた環境も違いますし、様々な価値観がそこには存在します。
適性検査を用いて採用をしようとする場合、多くの採用担当者が陥る「誤解」があります。
それが、「A判定だから採用する」というもの。
これは、半分正解で半分間違った採用手法と言えます。
今回は、判定結果のみを見ての採用がいかに間違っているのかを、お話していきたいと思います。
【①適性検査の多くは、外勤タイプはA判定になりやすく、内勤タイプはE判定になりやすい】
適性検査の多くは、どうすれば良い結果が出るのか、どうすれば悪い結果が出るのか、事前にデータ化されているものです。
当然と言えば、当然の事ですよね。
その際に、A判定になる為に必要な要素というのも存在します。
例えば、行動力。
行動力が高いとみなされた受験者は、A判定になりやすいです。
例えば、社交性。
社交性があるとみなされた受験者は、A判定になりやすいです。
一方、E判定になりやすい要素というのも存在します。
例えば、自尊心(プライド)。
自尊心が高いとみなされれば、E判定に近づきます。
例えば、気分性。
気分屋であるとみなされれば、E判定に近づきます。
とある要素が高いとA判定に近づき、またはE判定に近づくのか決まっているのです。
システム化されているわけですから、そうするしかないわけです。
もう少し大雑把に言えば、営業マンはA判定になりやすく、内勤業務はE判定になりやすいのです。
A判定だけを集めてしまうと、営業マン気質のものだけが入社する事になり、ただ明るいだけの人だった…ただ行動力だけある人だった…という事になりかねません。
営業職には営業職の、内勤業務には内勤業務に向いている性質というものがあります。
A判定が出ているから採用する…という安易な考えは、やめた方が無難だと言えます。
【②A判定の中でもそれぞれ個性はある】
確かに、A判定が出た受検者の方が優秀である事が多く、採用すべき人材ではあります。
しかし、そのA判定の中でも、それぞれ個性が存在します。
当たり前といえば、当たり前の話。
A判定だから採用するのではなく、その個性をも把握してから採用するべきなのです。
例えば、サッカー日本代表のケースで考えてみます。
当然、日本代表に選出されるくらいですから、皆さんサッカー選手としての適性はA判定でしょう。
そして、本田圭佑選手、香川真司選手、岡崎慎司選手、ハーフナーマイク選手など、前線で活躍している選手は、FWとしての適性もA判定でしょう。
そこで考えて頂きたいのです。
誰を選ぶのか?…という事です。
当然の事ながら、本田選手、香川選手、岡崎選手、ハーフナー選手、それぞれ個性があります。
本田選手は、キープ力やメンタルの強さ。
香川選手は、ドリブル・パスセンスや狭い範囲でのボールコントロール。
岡崎選手は、裏への飛び出しや前からのプレス。
ハーフナー選手は、高さ。
※実際それぞれ意見もあると思いますが、一例ですのであしからず…
ざっと上げただけでもそれぞれ個性は違います。
監督と言うのは、自分のサッカー哲学とサッカー選手の特徴を把握し、勝つために戦略・戦術をねっていくわけです。
決して、サッカー選手の素質がA判定だから、FWとしての才能がA判定だから、選出しているわけではありません。
A判定なのは理解した上で、さらにその先にある「個性」「特徴」をも見ているのです。
経済界における採用も、A判定だからと言って採用すべきではありません。
自社の戦略・戦術を理解し、そして候補者の特徴をも把握する。
それが、勝つ組織には必要なことなのです。
いかがでしょうか。
個性や特徴を把握して採用(選出)することは、スポーツの世界では当たり前に行われていることです。
経済界においては、その意識も弱いのではないかと思います。
適性検査の判定がAだから採用する…のではなく、その先にある個性・特徴をしっかりと把握し、採用を検討するべきですよね。