就活時期繰り下げ「学業に専念できない」…はたして本当にそうか?

人事ニュース

就活業界が大きく動いた、8月1日。

経団連加盟企業としては、採用面接が解禁された日。

人手不足が多方面で騒がれている中での、面接解禁。

大手・中小問わず、様々な動きがあったようです。

 

就職活動の時期は、ここ近年で大繰り下げられましたよね。

 

面接①

参照:日本経済新聞 朝刊 8月1日付

 

内定の解禁が10月1日なので、形式上は2ヶ月しか選考期間がないことになります。

正直、短すぎますよね。

 

採用を行っている企業側からすれば、色々な思惑があるわけです。

 ・いかに優秀な人材を囲い込むか。

 ・確実に採用予定人数を採用したい。

 ・内定を出した学生に辞退されず、自社に入社してもらいたい。

それは、至極当然の事ですよね。

 

採用に携わったからなら分かりますが、当然2ヶ月で採用活動が終わるわけありません。

会社説明会やフォロー、それこそ準備期間等も含めると、数ヶ月では到底足りません。

企業にとっては、自社の根幹に関わる重大なプロジェクトと言えますよね。

 

選考期間が短いという事は、色々な部分で支障をきたします。

 ・会える学生数が限られてくる

 ・会える学生に対しても、一人あたりの時間が減る

 ・流れ作業型、効率重視型の採用活動になる

 ・学生からしても、回れる企業数に限りが出てくる

ちょっと思いつくだけでも、多くの面で影響が出てきます。

 

企業も必死なわけですから、あの手この手を考えます。

それがいわば、社会問題にもなりつつありますよね。

 

 ・内定を出す事が出来ない為、「ほぼOK」「合格」という言葉を使う

 ・8月の面接解禁以前に、内々定を出してしまう

 ・オワハラと呼ばれる、就職活動がらみの新たなハラスメント

 

個人的には、完全に形骸化しているような気がします。

正直者がバカを見るじゃないですけど、規定通りにをちゃんと守って行動すると、損をする。

学生の獲得が出来ず、採用活動が失敗する…というのが思い浮かびます。

 

それだけ、企業側も必死って事ですよね。

オワハラは良くない事ですが、正直囲い込みたい気持ちは分かります…。

 

就活の繰り下げを反対する声の中に「学業に影響が出る」なんて話もありますよね。

個人的な見解を言えば、これって理系の学生には通じることかもしれませんが、文系の学生にとっては果たしてそうなのか…ということです。

 

はっきり言って、真面目に学業に専念している学生、少数派じゃないですか。

勿論、一部には頑張っている学生はいます。

そういう学生は逆に、就活は早々に終わってしまうのではないでしょうか。

元々意識高いわけですし、情報感度も良い。

 

学業に専念せず、単位を取る事や遊ぶ事が生活の中心にあるという学生が、ほとんどじゃないですかね。

自分もそうでしたし、先輩方も口を揃えてそんな話してますし、大多数はそうなのだと思います。

 

それこそ、普通にやっていれば、単位のほとんどは3年生の間にとり終えることが出来るでしょう。

大学によって差があるとは言え、それでも3年生後期ともなれば、卒業に必要な単位数はごくごく少数になるはずです。

そのような学生も「学業に専念できない」とひとくくりにするのは、いかがなものか。

 

それをこぞってマスコミ各社が報道するので、就活生も「そうなのだ」と思ってしまう。

 

そうじゃない。

制度のせいじゃない。

百歩譲ってそうだとしても、それを言い訳にしたって、何も変わらない。

今の現状を受け止め、その中で最大限の努力をするべきなわけです。

そうして必死に頑張った上で「後輩の為に」今の就職活動の状況を憂い、声を上げるのであれば素晴らしいと思う。

 

世の中は常に動いているわけで、その全てが自分の思い通りになるわけじゃない。

世界情勢が一気に傾き、会社の業績が悪化する事だってある。

そんな状態で、世界情勢が~と言い訳を言っても、状況は変わらない。

そういった全ての現状を真摯に受け止めた上で、自分には何が出来るか。

それを考え、行動する人こそ、求められているわけですよね。

 

もっともらしい意見があると、全てに当てはまるかのように思えてしまう。

でも、一つ一つ焦点を合わせていけば、実はそれは真実でなかったりします。

 

今回の「学業専念できない」という言葉も、疑問が残りますね。

色々言いたい事もあるでしょうが、文句もほどほどに、前向きに就職活動をする事をオススメ致します。

 

就職活動は、学生にとっても競争。

やればやる分だけ報われる可能性があるし、諦めればそこで終わり。

誰も助けてはくれません。

どんな結果になろうとも、全ては自己責任です。

誰のせいでもない。

 

自分の人生を自分の責任で選択できる就職活動と言うのは、学生にとってある意味初めての「責任を伴う仕事」なのかもしれません。

社会人としての第一歩であり、「社会と自分」を直接的に向き合える場でもあります。

 

最後まで諦めず、そして言い訳をせず、納得のいく就職活動をして欲しいですね。

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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