なぜ、吉本興業のトップの部下はみな辞めるのか…定着率が高いこと=優れた組織ではない
企業のアピールポイントの一つに、「定着性」があったりしますよね。
定着性が高いという事は、企業に魅力があるということ。
そのように捉える事が多いように思います。
しかし、全ての企業において、それがまかり通るわけでもないのが人事の難しさ。
定着率が高すぎてもダメだ…というのが持論です。
PRESIDENT Online
吉本興業の吉野会長は、「吉本興業40歳定年説」を唱えています。
40歳で定年退職させる人事制度があるというわけではありません。
「よそさんから欲しがられる人間になれ」
「40歳で定年だと思え」
という意味であり、エンターテインメントに携わる側としては、40歳以降の頭と感性は通用しない…と考えているようですね。
これは、きっとエンターテインメントの世界に限らず、多くの業界にも通ずる点ではないでしょうか。
定着性の話に戻りますが、定着しすぎても良くない。
人事採用の件でお客様を訪問しても、感じます。
どういう事かというと…
1.優秀な人材が定着するとは限らない
これは、企業の永遠の課題かもしれませんね。
優秀な人材と言うのは、外部から声がかかりやすいですし、何より独立の可能性も高まります。
これは、吉本興業の吉野会長がおっしゃっている、まさに「よそさんに欲しがられる人材」のこと。
優秀な人材は退職していき、平凡・無能な人材が定着する…ことだってあるのです。
組織の新陳代謝のためにも、一定の離職率は必要なのではないでしょうか。
2.定着率が高い状態が、組織が良い状態にあるとは限らない
一言で言えば、ぬるま湯環境だから社員が「辞めたがらない」とでも言いましょうか。
ある程度のシステムが構築されると、社員が頭に汗をかかずとも売上を立てる事ができてしまうのです。
強いブランド商品であったり、継続性・依存性が高い商品を扱っていたりすると、そのような傾向になります。
いわゆる「安定した組織」。
社員が誰も退職せず、ずっと同じメンバーであるというのは、いずれ弊害が出てくるものです。
社員は年を取るわけですし、環境も変わります。
頭を使わないに慣れてしまった場合、再び使い出そうとすると相当のエネルギーが必要にあります。
定期的に刺激を与えるべきですよね。
スポーツの世界では顕著ですが、やはり一定の流動性は必要です。
ベテランと若手の融合。
ベテランだけ居ても、成長・発展は頭打ちになってしまいます。
3.優秀な人材ほど、刺激の無い組織に不満をもちやすい
優秀な人材と言うのは、自己成長意欲が高いことが多いですよね。
維持・停滞を嫌うので、常に刺激を求めているものです。
特別感も強いので、自分でなければ…と考える傾向も強いはずです。
タイプによって異なるので、無理やり競争環境を作り出す必要があるかどうかは一概に言えません。
それでも、思考錯誤せずとも仕事になってしまう(別に自分でなくても仕事になってしまう)状態であると、悩みだしたりするものです。
そう言った気持ちを考慮してあげる必要がある。
優秀な人材は、平凡・無能な人材との刺激の無い交流を避けたりもします。
定着率を上げたいという意識から、平凡・無能な人材に合わせた人事制度の構築を行ってしまったりすると、優秀な人材ほど離職したりします。
それを避ける為にも、優秀な人材に合わせた人事制度構築を行い、あえて一定の離職率を保つ。
それも、企業の戦略の1つです。
人事というのは、これをすれば必ずうまくいき続けるというものではありません。
非常に難しいものです。
環境は常に変わり、精神状態や価値観も変わり続けるでしょう。
人事というのは、変化のある業務であり、柔軟な対応が求められる仕事だと思います。
それが面白みであったりするのですけれども。