こんなに難しい日本の解雇…「能力不足」では大半無効

人事ニュース

 

日本は、解雇する事が難しいと言われています。

労働基準法は、労働者を保護する法律。

経営者から見れば、厳しいと言わざるを得ない点もあるのではないでしょうか。

 

解雇をしたくても、簡単には解雇できない…。

だからこそ、日本においては「採用」が非常に重要になってきます。

 

 ※6月25日 日経産業新聞 「能力不足」では大半無効、こんなに難しい日本の解雇

 

◇日本は簡単に解雇できない

 ・法律や判例の要件をクリアしなければ、解雇の効力は認められない

 

◇解雇の種類

 ・懲戒解雇、普通解雇、整理解雇など

 

◇企業の規模や労働者のタイプによる違い

 ・従業員1,000人規模の会社よりも、30人ほどの企業の方が解雇が認められやすい

 ・新卒などは、能力不足を理由による解雇は認められにくい

 ・経験者をヘッドハンティングした場合は、能力不足による解雇は認められやすい

 

◇日本の雇用ルールは特殊か

 ・際立って制限的というわけではない

 ・ドイツ…1950年代から解雇保護法が制定されている

      6ヶ月以上勤務の労働者の解雇には、社会的正当性が必要

 ・フランス…解雇には、現実かつ重大な事由が必要

 ・イギリス…勤続1年以上の労働者の解雇には、違法行為などの証明が必要

 ・アメリカ…自由、解雇自由の原則が隔週の判例法によって採用されていたりする

 

◇増える労働審判

 ・2006年に始まり、07年の申し立ては全国で1,500件

 ・近年は、3,500件程度で推移

 

◇懲戒解雇は、中々認められない

 ・問題行動・言動が多い、同僚を退職に追い込む、上司の指示も反抗的

  不正請求が多い、取引先との懇親会でも社員に暴力…怪我をさせる

  会社の業務に支障が生じ、職場秩序は害され、会社の信用・評判も損なう

   →懲戒解雇したが、労働審判に持ち込まれ、本件懲戒解雇は無効とされた

 ・数々の問題行動・暴言を客観的に証明する証拠が足りなかった為

  怪我をさせた始末書、経費請求書、領収証では足りない

 ・最終的には、解決金として6ヶ月分の賃金を支払うハメに

 

◇問題従業員を辞めさせる為には

 ・辞表を書かせて、自主的に退職させる事

 ・どんな問題社員でも、懲戒解雇はなかなか認められない

 ・能力不足が理由では難しく、給与1ヶ月~3ヶ月分の退職金支払いはやむを得ない

 ・労働審判や裁判では、給与6ヶ月分~1年分の解決金で終わる事が多い

 

解雇は、難しいというのが現実です。

入社後にモメない為にも、「採用」はしっかりと注力すべきですよね。

 

※参考資料

我が国における個別労働関係紛争の解決状況、厚生労働省説明資料

◇個別労働紛争解決制度における解決金額…8割以上の事案で100万円未満

◇労働審判制度における解決金額…約5割の事案で100万円未満

 

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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