適性検査⑫:組織分析における適性検査の導入事例
適性検査に関して、色々とご紹介していきたいと思います。
ニッチな商品・業界だからこそ、よく知らないという方も多いのではないでしょうか。
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【適性検査に関して】
① 適性検査はお客様アンケートと同じ
② 適性検査の選び方、目的に応じた使い分けを
③ スポーツ業界から学ぶ適性検査の必要性、スカウティングの重要性
④ 使いこなせていない適性検査、導入するだけでは弱い
⑤ 業界初のサービス【適性検査+フィードバック】
⑥ 適性検査の死角、限界
⑦ IT化が進んで効率化されても、採用の本質的な部分は変わらない
~人間は感情・理性のある「ナマモノ」であり、機械ではない~
⑧ 適性検査を売っている営業も、実は使いこなせていないし理解していない
⑨ 適性検査の価格
⑩ 人材派遣・人材紹介ビジネスの矛盾、マッチングは興味無し、知識も無し
⑪ 採用時における適性検査の導入事例
⑫ 組織分析における適性検査の導入事例
⑬ まとめ:適性検査って結局どうなの?
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【⑫ 組織分析における適性検査の導入事例】
先日は、採用時における適性検査の導入事例をご紹介させて頂きました。
今回は、組織分析による適性検査の導入事例です。
適性検査というのは、採用時のみ使用するものであると思われがちですが、従業員に対しても適性検査を行う事により、組織にとって有益な情報を得られる事になります。
【◇ケース①:採用時に適性検査を使用した事で面白い情報が手に入った。
その為、今働いている従業員にも適性検査を受けさせてみたい】
まずは、R社のケース。
採用時適性検査を利用してみて、非常に面白い情報が取れたと好評でした。
性格診断・行動特性・モチベーション等、色々と参考になった。
今働いている従業員はどういう結果になるのか、非常に興味がある…というものでした。
簡単に言えば、
「今働いている従業員に適性検査を受けさせてみた場合、どうのような結果になるのか知りたい」
というニーズです。
組織分析というと、身構えてしまう方もいるかもしれません。
コンサルティングというと、非常に細かくて難しいものであると。
RAYEREDが行う組織分析の場合は、まずは従業員様に適性検査を受けて頂く事から始まります。
採用時と同じ性格診断、行動特性、モチベーション等のデータを吸い上げるだけでも、非常に有益な情報です。
企業は人である…と言いますが、従業員の状況を把握する事は非常に大事なのですよね。
採用戦略が間違っているのか、教育研修が間違っているのか、はたまたコミュニケーションの差異が起きているのか。
そういった疑問を解決してくれる資料が、従業員様用の適性検査であり組織分析です。
従業員様用の適性検査には、個人の事のみならず、組織に対する印象もヒアリングします。
現在の会社を、どのように思っているのか。
それを、5つの視点から紐解いていきます。
そういった「個人」と「組織」の2面から情報を吸い上げる事により、組織分析を行っていきます。
採用時の適性検査と同じデータを収集するだけであっても、興味深い情報を得る事ができたりします。
【◇ケース②:360度評価を行い、教育研修に役立てたい】
こちらも、組織分析というよりかは従業員様向けに適性検査を行いたいというニーズです。
T社のケースです。
若手層数百人に向けて360度評価を行いました。
自分から見た自分と、上司・同僚・部下から見た自分。
適性検査を用いて360度評価を行う事で、自分の事を知ってもらおうという試みです。
ケース①とも少し似ておりますが、こちらの場合は「教育研修」に用いたいという目的がありました。
人となりをデータ上からも把握する事で、どのように教育研修を行うべきかを探ります。
はたまた、どのようなキャリアプランが、本人にとって最適であるのかも探ります。
面接や自己分析シートだけではなく、適性検査を用いて、より内容の濃い教育研修を考えていきます。
そもそも、教育研修と言うのは、非常に難しい分野であると思っています。
学校のように、机に座らせて一斉に学ばせる…という事は、必ずしも効率的ではありません。
人それぞれ個性や能力が違いますし、性格も異なります。
ある程度は定量化しつつも、それでも最終的な部分では個別対応が必要なのではないでしょうか。
人間は、ナマモノです。
機械とは違い、感性や理性、モチベーションや気分、更には体調や精神状況によって、パフォーマンスが変わります。
完全に定量化することなど、出来るはずがありません。
これは余談ですが…
どんな研修を用いても、効果の薄い方々がいらっしゃいます。
この方々には、正直言っても何をしても、期待以上の成果は見込めません。
元々のモチベーションが低い…という方は想像に難くありませんが、もっと深刻な状況があります。
それは、いわゆる「病気」です。
精神面だったり依存症だったり。
うつ病を持っている方、アルコール依存症の方、ギャンブル依存症の方など…。
これらの方に関しては、例えばいくらモチベーション研修を行っても、思ったような効果は得られないでしょう。
パチンコやスロットに代表される「ギャンブル依存症」。
詳細は後日述べようと思いますが、このような方は頭の中がギャンブルをする事で頭が一杯。
とてもじゃありませんが、ハイパフォーマンスは期待できません。
早く帰ることばかり考える、有給を使ってイベントに行く、休みの日は常にギャンブル、給料が入ればまずはギャンブル。
このような精神状態では、研修を行ってもほとんど意味がありません。
うつ病はある程度判別できますが、依存症を適性検査などで判別する事は非常に難しいです。
こういった「隠れたマイナス要因」も把握するようでないと、研修の効果は正確には出ないのではないでしょうか。
【◇ケース③:これから新卒採用を増やしていこうとしているまさに変革期
その大事な時期の前に、組織の現状を把握し、今後の事業方針に役立てたい】
これは、S社のケースです。
新卒採用を増やしていくにあたり、組織の問題点などを把握し、事業方針に役立てたい…というものでした。
元々採用時の適性検査をご利用の企業様でしたが、組織分析も行わせて頂く事になりました。
一人ひとりの性格診断、行動特性、モチベーションの他に、組織における分析を行いました。
全社員、部署ごと、役職ごと、それぞれ様々なレイヤーにて分類する事で、組織の良い点・改善点が浮き彫りになりました。
結論から言えば、
≪良い点≫
・経営陣が自信を持っていた経営理念の浸透は、確かに浸透していた
・採用のやり方は間違っておらず、組織に合う優秀な人材を採用できていた
・若手層への教育研修はしっかりとしており、活気のある職場であった
≪改善点≫
・B部署の部長がまったく仕事をしておらず、部下からの信頼も無し
・新卒・主任・係長層はやる気に満ち溢れているが、課長層・部長層のモチベーションが非常に低い
上位層に上がれば上がるほど、やる気が失われていく組織状況であった
・ほとんどの業務は課長に集約しており、疲弊しきっていた
部下からの信頼は厚く、部下の組織への不満はないことから、課長が課題を一人で抱え込んでいたが判明
・経営陣は整理整頓が出来ていると感じていたが、現場レベルではそう感じていなかった
という事が、主に起きていたのです。
良い点もありましたが、改善すべき点もありました。
経営陣が想像していた事の半分は正解であり、半分は不正解でした。
特に、部長層・課長層の状況は、把握できていなかったようです。
S社に関しては、結果を元にしたコンサルティングは行いませんでした。
結果を頂戴すれば、まずは自社でなんとかしたい…というご要望でした。
RAYEREDでは、人事コンサルティングをうたっておりますが、結果だけをお出しするだけでも当然承っております。
組織分析とは言っても、まずは人材面から診断をするのがRAYERED流です。
財務諸表や経営戦略の構築などは、その後行うべきである…というのがポリシーだからです。
経営コンサルティングの前には、必ず人事のコンサルティングが必要になってくる…と思っています。
人事コンサルティングというと堅苦しいですが、要は経営資源である「ヒト」の事をより理解しよう…とする事です。
その結果、コミュニケーションを円滑にしたり、良い点を伸ばし、悪い点は改善する為のデータをお出ししたりする。
適性検査から得られる情報と言うのは、いわば現場の声であり、お客様アンケートのようなもの。
深く読み解いていく事で、会社経営にとって非常に有益な情報を手に入れることが出来るのです。
たかが適性検査、されど適性検査。
使い方によっては、非常に優れたツールであると言えます。