配偶者控除の縮小・廃止…「103万円の壁」を撤廃する事により、女性の社会進出を促す

人事ニュース

 

学生の間でも有名な数字なのではないでしょうか。

「103万円」

一般的に103万円を超える収入を得ると、税金がかかると言われています。

 

この103万円と言うのは、年末調整や確定申告時にポイントとなる金額。

基礎控除38万円と給与所得控除65万円を足して、103万円。

上記2つの控除は、給与総額に関わらず、控除される金額です。

 

103万円を超えなければ、所得税はかからない…というものですよね。

だからこそ、アルバイトやパートをする場合、103万円までしか稼がない・それ以下に抑えるという心理状況になります。

 

政府は、配偶者控除の縮小・廃止を検討しており、この103万円の壁をなくそうとしております。

「家族控除」という事で、夫婦それぞれが基礎控除(38万円)を持ち、働く妻の年収に関わらず控除額は合算され、一律76万円になる仕組み。

つまりは、103万円という壁が76万円まで下がるという事。

76万円を超える金額を稼ぐと、所得税がかかるようにする…というものです。

 

5月24日 日本経済新聞

日本経済新聞:妻の年収問わず一律76万円、女性の社会進出促す、政府検討「103万円の壁」解消

 

政府が念頭においているのは、「女性の社会進出」。

その為、女性の社会進出を促す為に、この103万円の壁を縮小・撤廃をしようとしているのですよね。

 

これには、当然賛否両論あります。

控除があるおかげで生活が成り立っているとか、別に社会に出たくないとか…。

人間の心理にも通じる部分ですが、規則やこれまでのやり方を変えると、反発が出る。

人間は、基本的には変化を嫌い、安定を好む生き物ですからね。

 

配偶者控除を縮小・廃止すべきかどうかは、これから議論が進んでいくでしょう。

ただし、女性の社会進出と言うのは、色々な面で必要とされている事です。

今回の動きも、根本はその点にあるのではないでしょうか。

 

後日blogにも書こうと思いますが、人口の減少は労働人口の減少、つまりは現役世代の減少です。

それは、年金額にも大きく影響してくるのです。

 

年金額は、現役世代の人数が大きなカギを握ります。

政府は、経済成長率に応じて将来受け取れる年金額を試算しております。

成長率が下がれば、当然受け取れる年金額も少なくなる。

将来の年金の為にも、経済成長率は保たねばならないし、人口の減少も食い止めなければならない。

 

将来受け取る年金の為。

女性の社会進出のススメは、実はその点にも大きく関わっているのですよね。

 

今必要なのは、「雇用」である。

労働力は、十分足りている。

増やすべきは女性ではなく、仕事自体である。

 

そんな声も聞こえてきます。

それに関しては、法人税なども大きく関わってくるでしょうね。

 

現代の日本社会は、様々な要因が複雑に絡み合っています。

配偶者控除の縮小・廃止をみても、将来の重大な課題に向けての動きなのですよね。

 

一ついじれば、他の点にも影響が出てくる。

一つ問題が生じれば、他の点にも影響が出てくる。

今回の配偶者控除の縮小・廃止は、その一角に過ぎません。

人口減少を始めとした、様々な問題が絡み合っている今回の配偶者控除の縮小・廃止。

 

国の制度に頼っていては、安心した生活は暮らせない。

そんな時代に、突入しているのでしょうか。

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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