世界一育てた危機意識、豊田英二氏死去
9月18日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。
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【世界一育てた危機意識、豊田英二氏死去】
「君たちに財布の中を心配してもらわなくていい」。
20年ほど前、会長だった英二氏は記者会見でこう気色ばんだことがある。
「トヨタ銀行」と言われたトヨタは2兆円も資金をため何に使うのか。
そう聞かれマイクをわしづかみした姿は感情的にも見えた。
だが戦後混乱期を目の当たりにした1人としては「軽々しく聞いてくれるな」との思いが強かったようだ。
「自分の城は自分で守れ」。
61年まで社長だった石田退三氏からこう薫陶を受け財務強化を徹底した。
2兆円の現金を常に持ち続けられるのは「経営危機が来ても4年は持ちこたえるため」だった。
遺産はものづくりにも残る。
カイゼン、カンバン、現地現物。
よく耳にする用語はトヨタ生産方式を体系化した大野耐一氏(トヨタ自工元副社長)が考案。
だが実践し浸透させたのは英二氏だ。
漫然と仕事をするのではなく、社員1人1人が経営者のように考え、効率的な生産現場を実現する、との哲学だ。
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トヨタといえば、やはり製造現場での事が非常に有名ですよね。
カンバン方式やカイゼンなど、たくさんの方が知っている事かと思います。
「カイゼン:KAIZEN」に至っては、言葉自体が世界に広がりました。
ものづくり大国日本を率いてきたトヨタですから、その言葉にも説得力があります。
そして、個人的に今回印象深いのが、「2兆円のキャッシュを保持していた」と言う事。
経営危機が来ても、4年は持ちこたえる事ができるように…との事ですよね。
これは、松下幸之助さんの「ダム経営」にも通じてくる部分ではないかと思うのです。
「経営というのは、ダムがいつも一定の水量をたたえているように、
不測の事態に備えて、資金も人材も蓄えておかなければならない」
というものです。
もちろん、それを実現する事は大変だけれども、まずはダムを作ろうと強く願う事が大事であると言います。
普段の生活としても、同じなのかもしれませんね。
不測の事態に備え、力や貯蓄をしっかりしておく。
投資をしすぎず、ぜいたくをしすぎず、背伸びした生活をしすぎない。
不測の事態に備えて、色々と余裕を持っておくべし…。
会社経営はもちろんですが、毎日の生活にも、不測の事態に備えておくべきなのかもしれません。
毎日の業務を常に見直し続け、常に高みを目指す。
加えて、不測の事態に備えて、余裕を持った経営をする。
大変な事だとは思いますが、学ぶべき点ですよね。