人材サービス、中国、進出余地大きく、インテリジェンス現地トップに聞く
5月24日 日経産業新聞からの抜粋+一部編集です。
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人材サービス、中国、進出余地大きく、インテリジェンス現地トップに聞く
日本の人材サービス各社が中国シフトを強めている。
国内市場はリーマン・ショック後の落ち込みから回復しているが大きな成長は見込めず、慣習や制度の違いがあっても拡大を続ける中国に期待する。
昨年7月に香港の人事労務コンサルティング会社を買収したインテリジェンスの中国法人の金鋭・総経理に市場攻略への施策を聞いた。
――中国市場でのインテリジェンスの位置は。
「2011年度の人材紹介実績は約3000人で日本の人材会社ではトップ。
他社も必死に追いかけるが、中国で16年間の人材紹介で得たノウハウが当社の強みだ」
「(買収した香港企業を通じて)現地法人インテリジェンス・アンカー・コンサルティング(上海市)は、中国の制度や慣習に応じた人事労務のコンサル事業を強化する。
日系企業が抱える課題に何でも対応していく。
現在は香港と深〓で顧客企業を約600社抱えるが、早期に上海でも100社開拓する。
将来は中国全土で1000社、売り上げもコンサル事業だけでまずは約5億円を目指したい」
――中国の人材サービス市場の特徴は。
「外資系は人材派遣がほとんどできない。
中国政府は製造業など経済への波及が大きい業種は積極的に外資を呼び込む一方、派遣などは逆に規制する。
中国へ進出した企業にも現地の派遣会社を通じて中国人を雇用させている。
このため当社も中国では日系企業向けの人材紹介が主だ」
「中国で4万社あるとされる人材サービス会社のうち、外資の比率はわずか1%ほど。
現地企業は強いが、各社が中国へシフトする理由は市場の有望性にほかならない。
増え続ける日系企業向けだけでも十分な規模がある」
――勤務先として日系企業の人気が下がっている。
「日系企業の人事や組織のあり方が原因だ。
大きな権限は日本本社にあるため中国人が活躍しにくい。
採用も現場レベルに偏り、管理職として中国人を採らない。
中国人は自分の経験やスキルをどう企業で生かすかという思いが強く、欧米人に近い。
将来のキャリア像が描けない日系企業は敬遠されがちだ」
「採用方針も明確でない。
日系企業は求める人物像が曖昧だ。
一方で、欧米企業は欲しい人材のスキルやスペックが明確なため、中国人とマッチングしやすい。
日系企業は中国事業の目標に立ち返り、どんな人材が足りていないかを再度考え直す必要がある」
―-今後の中国の人材サービス市場の見通しは。
「これまで欧米系の人材会社は欧米の企業に人材を紹介して日系の人材会社は日系企業に、というすみ分けがあったが最近は崩れてきた。
各国の人材会社による競争がさらに激化するだろう。
当社も日系以外に新規顧客の開拓を進めていく。
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人材業界に関するグローバル化の様子です。
ここでも、中国独特の文化があるようですね。
まずは、国が外資に規制を加えているという事。
資本主義ではないので、ここでも文化の違いで出てきました。
中国人から見て、日系企業の人気が落ちてきているという事。
これは以前記事にしましたが、まさに異文化経営学会で取り上げられた内容。
つまりは、外国の方にとって日本企業独特の文化の理解に苦しむようです。
「どうすれば出世できるのか」
「どうすれば海外勤務できるのか」
その疑問に明確に答えられる日本企業が少ないと言います。
「お前にはまだ早い」
「もっと成長してからだ」
そんなあいまいな返答をしてしまう日本企業の体質。
それが外国人にとっては理解できない点であり、大きな不満を抱く点なのです。
日本でも、グローバル人材を採用したいと躍起になっています。
しかし、その一方で離職率が高いという事も現実にあるのですよね。
〇年経験を積めば、〇〇の資格を取得すれば、〇〇の売上目標を達成したら…。
そのような明確なキャリア形成の提示ができていない為です。
それも、年功序列の文化が邪魔しているのでしょうか。
人事労務は地味なようで、非常に重要な分野。
「ヒト」を扱う分、難しさもあります。
海外に進出しようとしても、ぶち当たる大きな問題は「人事面」であるというのは、良く聞かれる話です。