異文化経営論A-4 「個人主義vs集団主義」…ホフステッドモデル

人事適性検査

引き続き、ホフステッド4次元モデルを見ていきます。

 

※ホフステッド4次元モデル

・能力格差

・不確実性の回避

個人主義vs集団主義

・男性度 vs 女性度

 

個人主義指標(IDV:Individualism Index)の基となったのは、仕事の目標(work goals)に関する14の質

問です。

 

まず、

「次にあげる要素は、あなたにとって理想的な仕事においてどの程度重要ですか」

と尋ね、14項目の重要度に関する答えを求めています。

個人主義指標、集団主義指標のもととなるのは、次の6つの項目です。

 

個 ①余暇の重視(Personal time)

個 ②仕事における自由度(Freedom)

個 ③挑戦を好む(Challenge)

集 ④訓練の重視(Training)

集 ⑤仕事場の物理的条件(Physical conditions)

集 ⑥技能の活用(Use of skills)

 

この数値で分かる事は、

 

個人主義

…個人間の繋がりが弱い社会の事で、自分や自分の家族は自分で面倒を見る

 

集団主義

…その反対であり、人は生まれた時から強力な団結した集団に組み込まれ、忠誠を誓う代わりに一生を通

じて保護されるような社会

 

です。

つまりは、「個」を重視するか、「集団・組織・社会」を重視するかという事ですよね。

 

以下、その指標になります。

一部だけ抜粋いたしますので、欧米・中南米・アフリカなどに興味がある方は、書籍をご覧下さい。

 

【50ヶ国と3地域における個人主義指標(IDV)の値」

出典:「異文化経営論の展開」 馬越恵美子著 p88 第4章 多国間定量分析の検証

 

異文化経営論の展開

 

 

※日本…太字+下線

左:Score rank、中央:IDV score、右:Country or region

 

1 92 USA

21 48 India

22 46 Japan

22 46 Argentina

31 32 Philippines

36 26 Malaysia

37 25 Hong Kong

39 20 Singapore

39 20 Thailand

43 18 South Korea

44 17 Taiwan

47 14 Indonesia

 

 

欧米ではIDの値が高く、アジア圏は比較的数値が低いようです。

つまり、欧米は個人主義、アジア圏は集団主義という事になります。

 

これは、企業統治や会社の社風にも表れているようです。

米国型企業統治は、個人の成功と短期的な利益を求めます。

会社は完全に株主の所有物と考え、株主の価値を上げる事を主な目的としています。

株価が経営の成功をはかる指標…とも言えるのですよね。

 

方や日本の企業統治は、企業を社会組織として扱い、全員共通の利益の為に共同体として働く…と言われてい

ます。

終身雇用が生まれたのも日本ですし、社会的にも法律的にも労働者を解雇しづらいというのも、日本の特徴で

す。

 

給与形態にも、その様子は見て取れます。

 

外資系と言うのは、基本的に「年俸制」。

しかし、元々日本は「基本給」に「様々な手当」が付きます。

「住宅手当」「家族手当」等々…。

企業は、従業員の住まいや家族においても、面倒を見るというスタンスなのです。

 

しかし、米国企業では「手当」という概念はないのですよね。

プライベートの深い部分まで企業に入り込まれるのを、嫌う傾向にあるのです。

 

これは紛れもなく、文化の違い。

日本人が外資系にあまり就職したがらないのも、やはり「個」としてみられているから。

雇用が確保されておらず、実力主義の世界であるから。

最近でこそ少しずつ薄まっているのかもしれませんが、根本的には変わりません。

様々な文化の違いが、米国と日本にはあるのです。

 

勿論、米国と日本だけではありません。

 

上記の指標をみる限り、米国企業よりはアジア系企業の方が、日本は働きやすいのかもしれません。

政治的問題や、語学の問題、宗教の問題などは考慮せず、個人主義か集団主義かという指標だけを見るとです

けれども。

 

個人的には、この指標は腑に落ちやすいような印象です。

一括りにすると「文化」ですが、国民性や企業統治、給与形態やキャリアプランの構築など。

その所々に、個人主義か集団主義かがでているような気がしますね。

 

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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