「社内公募制度」…海外赴任にも公募を取り入れ、自ら手を上げて仕事を掴み取る テルモ
6月5日 日経産業新聞からの抜粋+一部編集。
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テルモ―公募制で仕事つかめ、社員1割応募、海外も対象
テルモが社内公募制度を拡充している。
これまでに全社員のほぼ1割にあたる約450人が応募、制度を利用した異動者は約100人に上る。
海外赴任にも公募を取り入れ、自ら手を挙げて仕事をつかみ取るという制度の趣旨が着実に浸透。
採用時に学生が同社を志望する理由の1つに挙げるケースも出てきた。
「自分の思いが実現できた」。
インド南東部にあるチェンナイ支店に勤務するマーケティング・エグゼクティブの光清研吾さん(30)は目を輝かせる。
2004年に入社後6年間、国内での営業職を経験した後、10年に海外赴任の社内公募に応募。
審査を通過し、昨年11月、チェンナイに赴任した。
新興国への赴任を希望したのは
「急成長している国で自分を磨きたいと思ったから」。
学生時代、アジアの農村などの実情をフィールドワークで学んだ体験も生かせる。
現地の医師らの声を聞き、心臓血管治療などに使うカテーテルの販売戦略を考えるのが今の仕事。
「大きなチャンスとなった」
と公募制度を評価する。
テルモが制度を導入したのは1997年。
売上高が頭打ちとなり、縦割り組織や海外展開の停滞などいくつかの壁に直面していた時期だった。
「指示待ち、責任転嫁といった『企業体質』の壁もあった」
と人事部の松本幸助部長は明かす。
それを打破するため、目標管理や自分の進路を上司と話し合う面談とともに、公募制も導入した。
各部署やプロジェクトチームが仕事内容や応募条件、人数、応募期間を随時、社内ネットに公開。
募集した部署は応募者と人事部の仲介で面談し、審査する。
運用にあたって「最も気を使っている」(松本氏)のが秘密保持と、審査を通過した社員を送り出す職場などに不公平感を生まないことだ。
応募した事実は審査に通らなければ明らかにされず、面接も周囲の社員の目がない土日に実施。
ただ、審査に通っても通らなくても理由は本人に開示し、何が足りなかったのか分かるようにする。
公募で社員が別の部署に異動しても、出身の部署には人員補充をしない。
補充で異動してくる社員に
「公募のあおりで異動させられた」
と不満を抱かせかねないからだ。
そのため、
「残った社員でフォローできる仕組みを普段から作っておく」(松本氏)
ことが職場の重要な課題となる。
公募対象は国内の部署や新規のプロジェクトチームなどが中心だったが、07年から海外赴任者の公募も始めた。
すでに海外赴任候補として24人が審査を通過。
うち13人が実際に海外に赴任し、残る11人は赴任に備えて国内部署で研修などを受けている。
語学力など一定の条件はあるものの、最も重視するのは意欲。
現在の部署で一定の成果を上げていることも評価の対象となる。
最近の傾向は公募案件の内容がより詳細になってきていることだ。
例えば、海外赴任者の募集であれば赴任先の国や地域を具体的に特定する公募が増えている。
職場の1人が公募に応募して異動すると、その後、同じ支店からの応募が続くケースも出ているという。
同社を志望する学生にも制度が知られるようになり、チェンナイ支店の光清さんは
「挑戦できる環境があることが入社を志した理由のひとつだった」
と語る。
全体の公募数は年間平均5件程度だったが、10年度は9件、今年度はすでに3件を実施した。
今後は制度をさらに浸透させ、
「平均で月1件は公募がある状態にしたい」(松本氏)
という。
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社内公募により、やる気のある社員を引き上げる。
そのような企業が増えているのでしょうか。
昔に比べ、「転勤」も地方ではなく海外へ。
そういう傾向が増えているようです。
むしろ、以前の記事にもしましたが、海外採用の日本人も増えているのです。
雇用の形が、少しずつ変わってきています。