「ヤング・トップ・マネジメント体制」…若手社員を店の責任や本社の幹部に登用する、独自の「FC(フランチャイズチェーン)制度」・・・社員が店のオーナーになる シューマート
6月5日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。
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シューマート――若手を積極登用、社員オーナー制、士気向上へ一役
長野県内や北関東で靴専門店36店舗を展開するシューマート(長野市、霜田清社長)は独自の経営手法で店舗網を広げる。
若手社員を店の責任者や本社の幹部に登用する
「ヤング・トップ・マネジメント体制」
と、社員が店のオーナーになる独自のフランチャイズチェーン(FC)制度だ。
大規模店で多様な年齢層に対応、靴の専門家も配置するといった店舗運営にも工夫を凝らす。
「1つの小規模な企業の経営者みたいなものですね」。
前橋吉岡店(群馬県吉岡町)の店長、杵淵弘樹さん(30)は仕事内容をそう表現する。
杵淵さんは大学卒業後入社、27歳で店長を任された。
店長の責務はパートの採用や財務管理、本社で担う仕入れへの要望など幅広い。
「すべてに気を配っていないといけない」(杵淵さん)
役回りだ。
杵淵さんは入社後、店舗での経験を経て本社の商品部で婦人靴の仕入れを担当。
価格交渉に加え、メーカー側にヒールの高さの調整を要請するなど地域のニーズに合わせた販売戦略も学んだ。
本社で学んだノウハウを生かし、年間の売上高が3億円台後半だった前橋吉岡店を4億5000万円規模に成長させた。
出生率が高く子育て世代が多い地域の特性に合わせ、30代女性向けの品ぞろえを厚くした戦略が功を奏した。
流通業は全般に若手が活躍するが、同社は店舗スタッフを経て最短で3年目に店長に昇格、本人のやる気と資質次第で30代前半には本社の部長に就ける制度をもつ。
1971年に靴卸売1社と靴小売4社が合併してシューマートが誕生して以来、一貫しているのがこの「ヤング・トップ・マネジメント体制」だ。
向上心のある人材の確保が課題だが
「将来経営者を目指す社員しか採用しない」
と霜田社長は言い切る。
「40代になると守りに入る」が創業者の考えで、霜田社長自身も5年前、30代で社長に就き、役員もほとんどは30代だ。
ただ、社員の平均年齢は39歳で40代以上も4割を占める。
新陳代謝を活発にする一方、ベテランは若手の活躍をサポートする役割分担とし、給与水準も維持して全体の士気を下げないよう配慮する。
社員全員で店を経営するという意識を持たせるためのしかけも独特だ。
同社は全店がFC。
そのうち9割程度の店のオーナーはシューマート社員だ。
賞与を積み立てるなどした数人の社員が会社を作り出店費用を負担する。
在庫や社員はシューマートに所属し、店長も他の社員が派遣されるが、店のオーナーとして業績に応じた配当などを受け取れる。
中でも4店を運営する
「サンドリームファクトリー」
は社員全員が出資する。
出資は強制ではないが、役員は出資者で決め直接的に経営にかかわることになる。
「もし社員が働けなくなったとしても(配当収入などで)家族を守る仕組み」(霜田社長)
を築きたい考えだ。
店舗運営ではその人に合った靴を選ぶ助言のできる「シューフィッター」を配置する強みを生かし、単価の高いウオーキングシューズなどにも力を入れる。
今期(13年1月期)の売上高は前期比3%増の107億円を見込んでいる。
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社員一人一人に経営者感覚を身につけてほしい。
そのようなメッセージが込められていますよね。
「将来経営者を目指す社員しか採用しない」
その一言に、色々と集約されています。
グローバル化が注目されていますが、と同時に一人一人のスキルアップも騒がれていますよね。
高度経済成長期の時代の企業のように、企業から与えられた仕事を一生懸命やるだけでよかった時代ではなくなりつつあります。
もちろん与えられた仕事をこなす事は重要ですがそれだけではダメなのです。
「自分には何ができるのか」
勿論自分を含めてですが、それに答えられるようにならなければなりませんよね。