「新入社員全員を海外研修」…地元大学生と討論で刺激 帝人
6月15日 日本産業新聞からの抜粋+一部編集です。
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帝人―新入社員全員を海外研修、地元大学生と討論で刺激
帝人は若手社員の海外研修に力を入れている。
今年は新入社員全員を4月末にインドや中国に派遣した。
地元大学生とのディベートや会社訪問を通じ、新興国の成長ぶりや日本との文化の違いを体感させる。
国際感覚を養い、新興国市場の開拓を担う人材を育てる狙いだ。
「ディベートに負けて帰ってこい」。
研修を担当する藤本治己・帝人クリエイティブスタッフ採用・人財開発部長は今春、新入社員をこう言って送り出した。
「インド人や中国人は自信満々で自己主張する。
日本人は一旦考えてから話す。
それは文化の違いでもあるし、日本人に足りない部分でもあると感じてほしい」
と話す。
海外派遣研修は2011年に始まり今年が2回目。
今年は総合職の新入社員91人が6班に分かれ、中国の北京やインドのデリーなどで10日間を過ごした。
文化に関する座学から会社訪問、地元大学生とのディベートとプログラムは多岐にわたる。
「日本人はなぜ集中力が高くて仕事の効率性が良いの?」。
小野瑞季さん(24)は名門のデリー大学の学生とのディベートで予想外の質問に言葉が詰まった。
インド人のほうが仕事に情熱的な印象があったからだ。
「日本では約束や締め切りの期日を守ることが当然の文化として根付いているから」
と答えるのが精いっぱいだった。
ディスカッションの内容は自由。
小野さんのグループは
「自国と海外ではどちらで働きたいか」
「母国語と第2外国語のどちらに教育の重点を置くべきか」
といったテーマを考えていたが、終始デリー大学生のペースで進む。
英語に不自由のない帰国子女や留学経験者も、相手の会話を遮ってまで自己主張する強さはなかった。
「近い将来、デリー大学生と同じ土俵で働くと実感でき、良い意味での危機感を覚えた」
と小野さんは話す。
会社訪問では製薬会社や自動車組み立て工場、非政府組織(NGO)を訪れた。
製薬会社は経営学修士号(MBA)を持つ技術者が多く、仕事に直接関わりのなさそうな分野も貪欲に勉強している姿に驚いた。
帰国後の成果発表会では、研修を踏まえたうえで帝人の新規事業を提案する課題が各班に与えられる。
小野さんの班は現地の人に肥満体形が予想外に多かったため、インドを糖尿病治療薬の開発拠点にすることを提案した。
ほかの班は浄水事業やリサイクルミュージアム、大気を浄化する衣服のアイデアを出した。
研修後に自分に変化を与えたプログラムを聞いたところ、4割弱の人がディスカッションを挙げた。
伸ばしていきたい点では1位が主体性、2位が発信力だった。
具体的には
「失敗を恐れずに一歩踏み出したい」
「自分の言葉で伝えることの重要性が分かった」
といった声が聞かれた。
「新興国の勢いを頭では分かっているのと体感するのとでは全然違う」
と藤本部長は強調する。
海外研修の機会を新入社員以外にも広げるため、人事部以外の若手社員が引率することも視野に入れている。
5年目までの社員を対象に、英語で文化論などの講義を泊まりがけで受ける新たな研修制度を検討している。
帝人はアジア・新興国の売上比率を現在の25%から20年に35%に引き上げる目標を掲げる。
グローバルな視点を持った新入社員は重要な戦力になるとみて、育てていく方針だ。
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新入社員全員を海外研修へ。
そのようなグローバル企業が、増えつつあります。
つい最近までは、新入社員の一部であったり、入社5年目から海外研修へ送るなど、一定の制限が加えられていました。
しかし、業務がグローバルになればなるほど、スピードを重視するようになったのですよね。
グローバルに活躍している方のお話を聞くと、皆海外の勢いが凄い事を口にします。
日本にこもっていては気づけませんが、とにかく勢いがあるのですよね。
私も直接外国企業とやり取りをしているわけではありませんが、危機感を抱いている一人ではあります。