学生の来春志望、中小が大企業上回る
6月18日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。
———-
就活ミスマッチ緩和?―学生の来春志望、中小が大企業上回る
大企業志向の強い学生と、採用したいのに人が集まらない中堅・中小企業――。
そのすれ違いが解消に向かい始めたようだ。
民間の調査では、来春の就職希望先として中堅・中小企業をあげた学生が、14年ぶりに大企業を上回った。
政府も中小企業の情報を提供する取り組みを始め、学生の選択肢を広げる。
リクルートワークス研究所は来年3月に卒業する大学生を対象に今年2月上旬~3月上旬に調査した。
調査によると大企業(従業員1000人以上)を希望する学生は21万2800人。
一方、中堅・中小企業(同1000人未満)は22万1700人だった。
大企業を上回るのは、日本の金融危機で就職状況が厳しかった1999年以来だ。
◇大企業が15%減
特に5000人以上の大企業志望者は前年比15・2%減と、減少幅が大きい。
一方で従業員300~999人の企業は2・9%増えた。
苦戦する先輩の就職活動を目の当たりにして、現実志向を強めた学生が中堅・中小企業に志望を変えつつあるようだ。
大企業の求人倍率は0・73倍にとどまるが、中堅・中小企業の雇用吸収力は大きく、求人倍率は1・79倍に達する。
「早い段階から中小に目を向ける学生のほうが就職活動は順調」
(法政大学キャリアセンター)
だという。
立命館大学はここ数年、学生になじみの薄い事業を手掛ける会社を紹介し、優良企業の見方を養うセミナーを開いている。
企業の隠れた実力や魅力を知ると
「大手企業に内定をもらっても中堅企業との間で迷う学生がいる」
(同大学キャリアセンター)
という。
精密センサー製造のメトロール(東京都立川市、松橋卓司社長)は、すでに技術系の3人に来春入社の内定を出した。
松橋社長は
「6月時点で大卒の技術系を3人も確保できたことは過去になかった」
と言う。
2012年春入社組では大卒の技術系を2、3人採用する計画だったが、実際には1人しか確保できなかった。
「今回内定を出した3人は、最初から当社を希望してくれていて、大企業とてんびんにかけることもなかった」
(松橋社長)
◇優良会社リスト
政府も中小企業と学生のミスマッチ解消を後押しする。
12日にまとめた若者雇用戦略では、地域の優良中小企業のデータベースを政府が作るほか、中小の求人情報に強みを持つハローワークと大学の連携を強化することを盛り込んだ。
今春卒業した大学生でも、1~3月に1万5543人がハローワークを利用して駆け込みで就職を決めた。
受け皿もほとんどが中小企業だった。
政府は採用した学生の学歴や成績、資格といった情報を企業に開示させて求める人材像を示すことも検討している。
学生は自分に合った企業を探しやすくなる。
就職後も中小企業に入った若者がまとまって研修を受けられるような体制を整備して早期の離職を防ぐ。
政府は新卒だけでなく、就職してもすぐに離職した若者や就職できないまま社会に出てしまった若者の支援にも力を入れる。
労働力調査を来年1月に改定し、希望していないのに非正規雇用にとどまる若者の数を追跡調査できるようにする。
非正規雇用の時期が長くなるほど正社員への転換が難しくなる傾向があるため、実態を把握して早期の支援につなげる。
就業状況や失業率を把握するための労働力調査の変更は2002年以来11年ぶり。
来年1月からパートやアルバイトなどのフリーターが非正規雇用に就いている理由として
「家計の補助・学費のため」
「家事・育児・介護との両立」
「正規の仕事がないから」
などの選択肢を設ける。
働き方の多様化で、自らすすんで非正規雇用に就く人がいる一方、望まないまま非正規にとどまっている若者も多い。
支援を必要とする人数の正確な把握を目指す。
これまでは厚生労働省の不定期調査で数年に一度しか調べていなかった。
政府が6月にまとめる若者雇用戦略でも、非正規労働者の詳細なデータを活用することを盛り込む方針だ。
労働力調査は雇用対策や景気判断の資料にするため政府が毎月実施している。
今回の改定では、有期・無期雇用の記入欄や就業日数の調査項目を追加し、実労働時間の適切な把握も目指す。
派遣社員については、事業所記入欄をこれまでの派遣元から派遣先に切り替えることで、産業別の活用状況がわかるようにする。
———-
大企業志向も基本的には変わっていないのでしょうけれども、中小企業にも目を向ける学生が増えているのかもしれません。
中小企業に目を向けられるのはいい事ですよね。