「地域限定社員」…多少給料は安いが勤務地が一定の地域内に限定され、引越しを伴う転勤がない正社員 ユニクロ、日本郵政
6月22日 日刊工業新聞Newsウェーブ21からの抜粋+一部編集です
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根付くか“地域限定正社員”-ユニクロ・日本郵政、新たな労働形態探る
多少給料は安いが勤務地が一定の地域内に限定され、引っ越しを伴う転勤がない正社員―。
「地域限定正社員」制度が新たな働き方として注目を集めている。
企業側にとっても雇用の流動性を確保でき、人件費を圧縮できるメリットがある。
2007年4月にカジュアル衣料の「ユニクロ」がフルタイムの契約社員約5000人のうち1600人を地域限定正社員に登用したのを皮切りに、アパレルメーカーや生命保険会社、証券会社、外食・流通産業などが相次いで導入を進めている。
長時間労働、終身雇用を前提としてきた戦後の「日本型正社員モデル」は、中国、インドなど新興国の追い上げによりコスト、雇用両面で限界にきている。
バブル崩壊後、多くの企業は正社員を削減、その穴をパートや派遣社員で埋めてきた。
しかし、非正規社員の平均年収は同じ仕事をする正社員の3分の1でしかなく、一時金や退職金がもらえないケースがほとんど。
家族手当もない。
非正規社員から正社員への登用がさけばれるが、スキル面や人件費、社会保険料負担増などの企業側の論理から進んでいないのが実情だ。
一方、日本の正社員は慢性的な長時間労働にさらされ、仕事や勤務地も選べない。
そこでユニクロが先鞭(せんべん)をつけた地域限定正社員制度が注目されている。
正社員23万人の日本郵政グループは、時間給・月給制パート社員や短時間社員などほぼ同数の非正規社員を抱える。
日本郵政グループ労働組合は、経営側と非正規社員「ゆうメイト」の正社員化で協議を重ねてきたが、正社員登用は年間2000人程度にとどまっている。
正社員化によるコスト増を吸収する利益確保策がないためだ。
般職となるとみられ、今年10月に郵便事業会社と郵便局会社が統合して発足する日本郵便から実施する方針だ。
その打開策として経営側は地域限定正社員制度を含む新たなコース別人事制度をこのほど労働組合に提案した。
会社側の提案では、約23万人のグループ正社員の分類をこれまでの「総合職」「一般職」の2階層から、転勤が伴う「総合職」と支社エリア勤務の「地域基幹職」に。
そして賃金が低くなるものの勤務地が固定される「新・一般職」の3階層にする。
大部分の社員が新職制となる新・一般職となるとみられ、今年10月に郵便事業会社と郵便局会社が統合して発足する日本郵便から実施する方針だ。
幹部と将来の幹部候補生である総合職は基本的に変更はない。
現在、正社員の大部分を占める一般職を、将来の支社・支店幹部・幹部候補を地域基幹職、主に郵便局の内務や郵便物配達など外部業務を行う標準的な業務を行う新・一般職に振り分ける。
早ければ2014年度にも導入する。
郵便事業会社と郵便局会社の職員の大部分が新・一般職となる見通しで、会社側の提案では、統合して発足する日本郵便の新・一般職の賃金水準は現行の正社員と月給制社員の中間程度。
会社側は「ゆうメイトの登用も検討する」としている。
2万4500の郵便局を抱える郵便局会社は法律で現在の店舗数の維持が求められ、一方、郵便事業会社も郵便物の減少と民間宅配便との競合で赤字体質だ。
両社の統合が実現しても厳しい経営が続くため、新人事制度の導入を目指す。
社員間の給与格差の拡大につながるため、労使合意には曲折も予想されるが、少子高齢化で労働人口が減少し、共働き夫婦が一般化した中で、正社員と非正規社員に二分されてきた日本の労働市場に、新たな労働カテゴリーとして定着するのか。
日本最大の企業の取り組みが注目される。
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「地域限定正社員」
グローバル化に伴い、様々な取り組みが行われています。
人材の流動化にも先立ち、これからも様々な取り組みが増えてくると思われます。
日本の固有の雇用制度は、正社員。
しかし、海外ではその「正社員」という雇用形態は珍しいのですよね。
日本固有の雇用制度に関しては最近その良さも見直されていますが、企業によって見解が分かれているのも事実。
企業の戦略によって、色々と思考錯誤中です。
地域限定正社員という雇用形態の導入により、どのような結果になるのか…注目です。