業務の類似体験で研修、考える力・チーム連携学ぶ 神戸製鋼所
6月22日 日経産業新聞からの抜粋+一部編集です。
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神戸製鋼所―業務の疑似体験で研修、考える力・チーム連携学ぶ
神戸製鋼所は新入社員が仮想の商談や社内会議などを通じて、疑似体験をしながら業務を学ぶ研修制度を導入した。
上司や顧客への応対や、問題が発生した際の解決方法を指導する。
自分で考える力を持ち、チームで行動できる社員を育成する狙いがある。
この制度を始めたのは2010年。
毎年150人前後いる新入社員を6人ずつのチームに分けて実施する。
上司役の講師がそれぞれのチームに対し、営業プレゼンテーション用の資料作成やリポート作成などの「お題」を与える。
チームのメンバーが協力してそれを実行する。
このプログラムは神鋼の研修子会社、神鋼ヒューマン・クリエイト(神戸市)が手がけており、上司役などとして同社の講師も参加する。
例えば上司役の講師が
「午後までに鉄鋼メーカー各社の業績の比較資料を作ってほしい」
という指示を出す。
チームのメンバーが協力して鉄鋼各社の決算書を調べたり、比較表を作ったりして上司役に提出、評価を仰ぐ。
この間、顧客役が問い合わせなどの電話をかけてくるため、これにも応対しなければならない。
電話がかかってきた際、
「はい、神戸製鋼所の○○です」
という受け答えができるかどうかだけでなく、話しぶりなどをチェックする。
実際の業務の現場さながらに、同時並行でいろいろな出来事が起こり、それらへ臨機応変に対応することが求められる。
人事労政部の広渡智敬人事グループ長は
「はじめはほとんどの新入社員が与えられた課題をこなせないが、自分ができないということを知ることも大切」
と語る。
研修の前に実施しているビジネスマナーなどの研修だけでは十分な効果を上げられるとは言い難い。
業務を疑似体験するなかで、頭の中には知識として入っていても現場で役立たないことが多い、ということも理解できるという。
分からないことを上司に相談したり、進ちょく状況を細かく報告したりする必要性も身をもって経験できる。
研修の終了後、講師役は新入社員とともに、うまくいかなかった理由などを検証する。
例えば
「自分が分からないことを上司に相談するという意識が不足していたのでは」
といった反省の声が出てくるという。
新入社員には自律、協調、粘り、規律というキーワードに基づいて行動するよう徹底する。
疑似体験研修を終えた後、新入社員の中には
「仕事に優先順位を付けてスピード感を持って取り組めるようになった」
といった感想を持つ人が多かった。
チーム内の別のメンバーが失敗するのを見て、どうすれば改善できるかを考えることも大切だ。
広渡グループ長は
「研修後は自信を持って実際の職場での仕事にのぞめるようになる」
とみている。
神鋼では営業マンが技術者と連携して受注を目指すなど、部門をまたいで協力することも多いという。
疑似体験の場でチームワークの大事さを学ぶこともできる。
最近は採用数を絞っている影響もあり、かつてのように上司が新人の教育係として付きっきりでビジネスのやり方やマナーなどを教え込むのは難しくなっている。
こうした弊害が顕在化しないよう、今回のような研修を通じて新入社員が早く自立できるように後押しをする。
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グローバル人材の「採用」に注目されていますが、「育てる」という事も忘れてはなりませんよね。
「育てる」には時間がかかり、世界のスピードには追いつかなかったりもします。
企業の戦略にもよりますが、やはり育てる力も付ける必要があるように思います。
育てる力がある企業と言うのは、苦境の状況に追いやられても立ち直れるものです。
優秀な人材を採用するのみでは、やはり厳しい。
優秀な人材を採用・引き留める事も大切ですが、育てるレベルも上げるべきなのではないでしょうか。
これは、スポーツの世界を見てみても、そう思ったりもします。