65歳まで雇用、企業身構え、「義務付け」今日成立

人事ニュース

8月29日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。

 

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65歳まで雇用、企業身構え、「義務付け」きょう成立、年金の空白に対応

 

 

60歳の定年後も希望者全員を雇用することを企業に義務付ける高年齢者雇用安定法改正案が29日、成立する。

来年4月から厚生年金の受給開始年齢が引き上げられるのに対応し、定年後に年金も給料も受け取れない人が増えるのを防ぐ狙い。

2025年度には65歳までの雇用を義務づける。

企業は継続雇用の対象者を能力などで絞り込めなくなるため、負担増に備え対応を急いでいる。

 

28日の参院厚生労働委員会で民主、自民、公明などの賛成多数で可決。

29日に参院本会議で可決、成立する見通しだ。

会社員が加入する厚生年金(報酬比例部分)は現在60歳から受け取れるが、男性は13年度に61歳からとなり、以降3年ごとに1歳上がって25年度には65歳開始となる。

 

現在、企業の82・6%(約10万9千社)は継続雇用制度を持ち、定年後も希望者を雇用している。

ただ、その5割強は労使協定の基準を満たす人に対象を絞っている。

労働政策研究・研修機構によると、健康状態や出勤率・勤務態度のほか、約5割の企業が業績評価も基準に使っている。

 

改正法は企業が労使協定で対象者を選別することを禁じる。

ただ、企業の負担が重くなり過ぎないよう、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会で指針を作り、勤務態度や心身の健康状態が著しく悪い人は対象から外せるようにする。

 

継続雇用する対象者の範囲は年金の受給開始年齢の引き上げに合わせて広げ、受給開始が65歳となる25年度には65歳まで希望者全員の雇用を求める。

指導や助言に従わない企業名は公表する。

 

11年6月の厚生労働省の調査では、過去1年に定年を迎えた約43万人のうち10万人以上は継続雇用を希望しなかった。

年金の受給年齢が上がると定年後もしばらく年金を受け取れなくなるため、来春以降は希望者は増えると考えられる。

 

みずほ総合研究所の試算では、継続雇用を希望しなかった人と希望しても離職していた人が全員、継続雇用されると賃金総額は来年度に4千億円増える。

25年度には1・9兆円増え、総人件費を約1%押し上げる。

コスト増以上に、能力の低い従業員も雇用しなくてはならず労働生産性が下がると懸念する声も多い。

 

第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは

「人件費の増加を防ぐため能力の高い高齢者の賃金まで企業が一律に抑制しかねない」

と警鐘を鳴らす。

 

高齢者の雇用が増える結果、企業が若年者の雇用を抑える可能性もある。

「高齢者と若者のワークシェアなど柔軟な働き方を進めていく必要がある」

と高年齢者雇用コンサルティングの金山驍社会保険労務士は指摘している。

 

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今回は、高齢者雇用安定法の改正に関しての記事。

ポイントとしては、このような感じでしょうか。

 

 

◇60歳の定年後、希望者には全員雇用を義務付ける(2025年には65歳まで)

 

定年を迎えた後も働きたいという人は、雇用「しなければならない」という事でしょうか。

年金の受給年齢開始が遅くなる現況制度に合わせての対応です。

最終的には、希望者には「65歳まで雇用しなければならない」状況になります。

 

 

◇基本的には、「希望者」の選定は不可(勤務態度や心身の健康状態が著しく悪い人は外せる)

 

ここも、改正点のポイントですよね。

旧制度は、希望者の中から継続して雇用する人を選別できましたが、それが基本的にできなくなるようです。

勤務態度/成績や健康状態を見て選別できたのに、それができなくなる。

希望者全員、雇用しなければならない。

 

労使協定によって多少の配慮もあるようですが、どうでしょうね。

「著しく」という表現には、あいまいさも残ります。

まだ裁判になっての判例がないのでなんとも言えないですが、ここが労働争議が起こり得る点ですよね。

 

企業側は「著しく悪い」と思って定年退職させたが、労働者側は「そんなことはない」と主張。

結果、企業側の敗訴…定年退職は不当…なんてこともありそうです。

 

 

◇指導や助言に従わない企業は、企業名を公表

 

守らなければ、企業名を公表されるようです。

複数回の内定通知の取り下げ等と対応が似ています。

内定通知の取り下げが話題となった時期もありましたが、その際はYahooのトップニュースにもなっていました。

当時色々と公表されていた福岡県のK社は、今もご活躍のようです。

 

 

◇高齢者の雇用義務により、弊害が出てくる

雇用を義務化するという事は、弊害が出てきますよね。

今までは定年退職と共に、若手が抜擢されたり、それこそ「解雇せずに労働者を減らせる」なんて事を考えていたのだと思います。

あまり会社に貢献しない従業員を合法的に退職させることができるわけですし。

 

しかし、その期間が延びるという事は、もちろん若手に影響が出るという事。

つまりは、「出世が伸びる」「新卒採用を控える」という方法です。

使える人件費はある程度決まっているわけですから、その分下にしわ寄せが来るのは想像できます。

 

加えて、継続雇用された方にも影響が出ます。

特に、優秀な方。

優秀な方へ支払いたい分の人件費もおさえなくてはなりません。

定年退職の人数が減るわけですから、全体的におさえがちになる。

 

今までのような賃金体系・採用計画・人員配置等では、人件費が高騰してしまうわけです。

出口が狭くなった分、組織も変更しないと立ちいかなくなりますよね。

 

法律が変わると、組織を変えなくてはならなく可能性がある。

特に、雇用に関わるような法律は、知っておかねばなりません。

変わる事による弊害、そして未来予測。

それによって、新たな戦略を立てなければなりませんよね。

 

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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