派遣受け入れ要確認、来月施行改正法のポイント、離職後1年以内は禁止
9月27日 日経産業新聞からの抜粋+一部編集です。
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派遣受け入れ要確認、来月施行改正法のポイント、離職後1年以内は禁止
10月1日に改正労働者派遣法が施行される。
人材派遣の分野はこれまでの法改正で規制が緩和されてきたが、今回初めて労働者の保護を目的にルールが強化される。
どう対応するのか戸惑っている派遣元の派遣会社や労働者を受け入れる派遣先の企業はまだ多い。
人材派遣を活用する企業が再確認しておくべき主なポイントを専門家に聞いた。
今回の法改正で最も注目を集めているのは、人材派遣会社と労働者との雇用期間が30日以内の短期派遣である「日雇い派遣」が原則禁止になる点だ。
ただ、このルール変更以外にも企業の担当者が注意すべき点は多い。
人材サービス会社支援のコンサルティングミッション(東京・千代田)の秋元次郎社長は
「まず法改正の趣旨を理解する必要がある」
と話す。
過去3回の法改正で人材派遣では自由化が進み、違法派遣や労災が相次ぐ一因となった。
人材派遣が「ワーキングプア」問題の元凶などと見なされたこともあり、派遣労働者の保護を目指すことになったのが今回の趣旨だ。
派遣元と派遣先には新たに11の規制が設けられるが、派遣先の企業で対応する必要があるのはそのうち
「派遣先の都合による契約解除の際の措置(派遣元に対する損害賠償など)」
などだ。
なお、10月以降には「忙しい時期に短期派遣を全く利用できなくなる」と考えている派遣先は多いとされる。
しかし「30日以内は原則禁止」という規制は派遣元と労働者間での雇用契約の期間を対象にしたもの。
「今後も企業が短期の労働者派遣のオーダーを出すことは法的に可能」(秋元氏)
だ。
世帯年収で500万円以上ある主婦など法律の例外範囲や、企業による直接雇用の紹介などで、派遣元が企業のニーズに対応していくことはできる。
派遣先で最も注意すべき点は何か。
秋元氏は
「離職労働者の1年以内の派遣受け入れ禁止が要注意」
と指摘する。
人件費の削減を目的に、企業が直接雇用していた従業員をグループ内の派遣会社に転籍させて、労働条件を切り下げた後に派遣社員として受け入れることを禁止する内容だ(60歳以上の定年退職者は例外)。
企業には、受け入れた派遣社員が直前まで自社で働いていた場合、直ちに派遣会社に通知する義務が生じる。
例えば、A社の東京本社で働いていた女性社員が夫の地方転勤に伴い会社を退職し、半年後にA社の地方支店で派遣社員として働き始めた場合などが抵触する。
秋元氏は
「一日でもアルバイトなどで直接雇った人の派遣受け入れはできない」
と話す。
企業が受け入れ予定の派遣社員を事前面接することは禁止されている。
このため、派遣会社側で職歴確認を徹底しているかどうかの再確認が必要だ。
2015年10月施行の
「労働契約申し込みみなし制度」
も要注意だ。
法律で禁止された業務に派遣社員を就かせたり、法律で認められた期間を超えて派遣社員を働かせたりした場合、企業はその派遣社員に直接雇用を申し込む義務を負う。
また、コンプライアンス(法令順守)の意識が低い派遣会社を利用すると、結果的に違法派遣を受け入れてしまうこともありうるので、派遣会社の見極めが重要になる。
秋元氏によれば
「これまで通りに安く、早く、何でもやりますと言った『御用聞き』会社は要注意」
とする。
法改正で派遣会社には多くの規制が課されるため、以前と同じ対応は望めないと考えた方が自然なようだ。
法改正により、企業から受け取る派遣料金と派遣社員に支払う賃金の差額の率であるマージン率について、派遣会社は開示の義務を負う。
社会保険労務士の中宮伸二郎氏は、この率は悪質な派遣会社を見抜く基準の一つになると指摘する。
日本人材派遣協会のデータでは、一般的な人材派遣の派遣料金のうち、労働者への支払賃金が約70%を占め、マージン率は約30%になる。
そのマージン率には派遣社員の社会保険や有給休暇費用が含まれるため、派遣元の営業利益となるのは1~2%台だ。
「(派遣業種にもよるが)マージン率が50%超の場合は要注意。
社会保険や福利厚生の内容を確認してみては」(中宮氏)
と話す。
派遣元には、派遣先の従業員と派遣社員との間でバランスのとれた待遇(均衡待遇)を実現するよう求められている。
秋元氏は、この均衡待遇の確保について、受け入れ側の企業も積極的に協力すべきだと話す。
「社員向け研修に派遣社員を参加させるだけでも派遣社員のモチベーション向上になる」(秋元氏)
と話している。
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最近、派遣法改正絡みの記事が増えてきました。
「雇用」に直接関係するお話という事もあり、注目度も高いようです。
今後の動きに注目ですよね。