産業界、派遣離れ進む、日産など直接雇用、三越伊勢丹、対象外の主婦に的
10月2日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。
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産業界、派遣離れ進む、日産など直接雇用、三越伊勢丹、対象外の主婦に的
30日以内の短期派遣の原則禁止などを柱とする改正労働者派遣法が1日施行された。
今回の改正は1986年の派遣法施行以来、初の規制強化となる。
日産自動車が生産現場の派遣社員をゼロにするなど大手企業は外部委託や直接雇用への切り替えを進める。
三越伊勢丹ホールディングスなど百貨店業界では規制の対象外となる高所得世帯の主婦らを囲い込む動きも出てきた。
法改正論議は2008年に本格化し、自民党政権が「ワーキングプア」を生んだなどとして日雇い派遣の原則禁止方針を打ち出した。
その後、民主党政権が仕事がある時だけ派遣会社と契約を結ぶ「登録型」と工場への「製造派遣」も全面禁止する改正法案を10年春に提出。
最終的に登録型や製造派遣の禁止は見送る形で修正し、今年3月に成立した。
この間、産業界で派遣離れが進んだ。
日産自動車は08年の金融危機後の減産に対応して製造現場の派遣社員の数を減らし始め、09年3月にゼロにした。
その後の生産回復には直接雇用の期間従業員の採用で対応している。
ライオンは生産現場の人員や事務職を派遣社員から直接雇用のパートに転換し、派遣社員数は09年から約2割減った。
工作機械大手の牧野フライス製作所は07年当時、機械の組み立て作業などで約400人の派遣社員を活用していたが、現在は5分の1程度に縮小。
外部委託比率が高まった分、製造コストの上昇は避けられない。
一方、物流、小売りなど繁閑の差が大きい業種や中小企業では派遣へのニーズが依然高い。
これまで短期派遣社員を調整しやすい柔軟な労働力として活用してきたためだ。
関西のある物流企業の担当者は
「直接雇用で人員を抱え込むと固定費の負担が増える」
と話す。
三越伊勢丹ホールディングスなど百貨店の人材派遣子会社5社は今月、初めて共同で販売員らの登録会を都内で開く。
改正では60歳以上の高齢者や昼間学生、世帯年収500万円以上の主婦は日雇い派遣禁止の対象外。
こうした人材の争奪で
「賃金が上昇する可能性もある」
(高島屋子会社のセンチュリーアンドカンパニー)
ため、合同で囲い込みに乗り出す。
ブランド品のリサイクル店を展開するベストライフ(大阪市、岩本元熙社長)は年数回の特売で1週間程度の短期派遣社員を活用してきた。
「自社で集めるアルバイトは必要数を確保できるか分からない」
からだが、今後は「どうすればいいのか」と困惑する。
総務省の調査によると12年4~6月の派遣社員数は81万人で08年の同時期より約4割減った。
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企業の人員計画に影響が出始めています。
派遣法の改正により、不安定な部分もある為、直接雇用に切り替える企業も少なくありません。
その場合は、従来のやり方だけでなく、将来設計も計画しなおすことになりますよね。
特に、人件費の調整弁と考えていた企業にとっては、大きな変革になりそうです。
今後の動きに注目です。