リクナビ陰る就活王-人気企業、独自採用シフト

人事ニュース

4月1日 日経産業新聞からの抜粋+一部編集です。

 

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リクナビ陰る就活王―人気企業、独自採用シフト

 

 

1日から2014年春入社の面接活動が本格化するなか、就職情報サイト最大手「リクナビ」の立場が揺らいでいる。

学生を就活サイト経由で大量募集してきた有名企業が相次いで独自路線にシフト。

学生離れもじわりと進む。

他社との競争も激化し、運営するリクルートキャリア(東京・千代田)は危機感を強める。

 

就活サイト中心だった就職活動の仕組みを大きく変えそうだ。

 「今年から就活サイトは利用しない考えだった。

だがリクナビが掲載料を無料にしてくれたので、とりあえず掲載は続けるけどね」。

ある大手商社の採用担当者がこう明かした。

 

学生の人気企業ランキングで例年上位に入るこの商社は、就活サイトに頼らない独自の採用活動を強めている。

学生数千人を動員した大規模なセミナーを自社開催したほか、新手の就活イベントにも積極的に参加する。

 

1月中旬に東京都内で開かれたイベント。

特定層に絞って有能な学生を狙う。

参加した約50人の学生全員が留学経験済みで英語検定能力テストTOEICは900点を超える。

ビジネス向けSNS(交流サイト)「リンクトイン」に登録して社会人との人脈づくりにも意欲的。

採用担当は「問題意識の高い学生が多かった」と満足げだった。

 

就活でのリクナビの存在感は圧倒的だ。

レジェンダ・コーポレーションによれば就活する学生の登録率は実に98・9%にのぼる。

学生はリクナビに登録すれば無数の企業の求人情報が入手できる。

企業も求人情報の掲載や、合同説明会の出展で学生を大量に集客してその後の応募につなげる。

エントリーシート(ES)の受け付けから適性試験、選考状況の管理に至るまで就活の一連の流れを全てリクナビ内で完結できる。

 

しかし、人気企業や学生の間でリクナビ離れが進んでいる。

レジェンダ・コーポレーションによると13年春の就活で最も利用した就活サイトはリクナビと答えた学生は68・7%で、前年比2・1ポイント減と7割を下回った。

一方で就活サイトより企業のホームページの情報が充実していると答える学生が増えている。

 

人気企業の間でもリクナビ離れが目立つ。

富士ゼロックスはリクナビなどの就活サイト依存を改め、インターンシップ(就業体験)重視にカジを切った。

14年春は理系上位校の学生を厳選して、研究開発の仕事を体験させる取り組みを始めた。

 

 

◇自社サイト誘導

 

ヤフーも方針を転換。

 

リクナビへの掲載は続けるがあくまでも自社の採用サイトへ誘導するためだけ。

「志望が明確な学生を採用したい。

『何となく』程度で気軽に応募されては逆に困る」

と話す。

 

情報サイト運営のリブセンスは12年春からリクナビなど就活サイトに掲載をやめた。

村上太一社長は「大量募集しても選考や面接にコストがかかるだけ」という。

 

就活サイト離れの決め手となったのは11年3月の経団連の倫理憲章見直しだ。

13年春以降、就活は例年から2カ月遅れの大学3年生の12月スタートとなった。

短期スケジュールの中でどうしたら本当に採用したい学生と効率良く出会えるのか。

その模索の結果が就活サイト離れにつながった。

 

「今や就活サイトはダンピング合戦だ」。

 

最大のライバルであるマイナビ(東京・千代田)の三上隆次マイナビ編集長はそう話す。

各社は掲載企業を集めるため料金の値下げ競争に動く。

 

元からリクナビよりも割安だったマイナビも

「ここ5年で全体の平均料金は30%ほど安くなった」(三上氏)

と話す。

リクナビも14年版では機能を簡易にして270万円程度の基本プランから半額程度のサービスも始めている。

 

無論、手をこまねいているリクルートではない。

14年版は蓄積した企業の採用情報や学生の行動パターンのビッグデータを活用して学生1人1人を細かく分析する。

社風や働き方との相性や学生と志望企業の採用要件とのマッチング度が分かる仕組みを導入した。

 

 

◇中堅中小を開拓

 

まだ未開拓の中堅・中小企業を積極的に開拓した。

リクナビの掲載社数は14年版では8704社(2月末)。

13年版の7954社を大きく上回った。

「新卒採用を再開するなど中小企業の採用意欲が高い」(岡崎仁美リクナビ編集長)

ためだ。

 

しかしここでも新たな課題が浮上している。

景気の回復感が高まる中、再び学生の大手企業志向が強まっている。

「マッチングがうまくいかず、中堅・中小企業のニーズを満たし切れていない」(業界関係者)

という指摘も出始めている。

 

リクナビはリクルートの祖業とも言える存在だ。

2月に死去した創業者の江副浩正氏が1960年に「大学新聞広告社」を設立し、就職説明会の情報を大学新聞に載せた。

62年には「企業への招待」を創刊し、就職希望の若者へ無料で情報の提供を始めた。

だが、「リクルートが単独で就活のシステムを築く時代ではなくなった」(岡崎氏)という。

 

“就活王リクナビ”は業界のガリバーゆえに、その責任感と悩みは大きい。

 

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就活業界が大きく動いているようです。

人事の立場としても、非常に興味深い内容なのではないでしょうか。

 

就活の短期化が騒がれている昨今では、不特定多数の学生を集める…という事に対して、時代に合わなくなってきたのでしょうか。

短期的であるからこそ、今までよりも合う学生を絞られければならない。

 

1つの環境が変われば、それを取り巻く環境にも変化が出るものです。

「就活の短縮化」という環境の変化が、就職活動の変化になりました。

今後、さらに就活開始時期を遅らせるという話も上がっております。

 

今後の動きに注目ですよね。

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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