「65歳まで雇用」企業手探り、希望者全員対象、きょうから義務

人事ニュース

4月1日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。

 

———-

 

「65歳まで雇用」企業手探り、希望者全員対象、きょうから義務。

 

 

希望者全員の65歳までの雇用確保を企業に義務付ける改正高年齢者雇用安定法が1日施行された。

厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳まで段階的に上がるため、年金をもらえるまで働ける環境をつくるのが狙いだが、若者の採用や現役の賃金が減る恐れがある。

非正規社員の雇用安定を目的とした改正労働契約法も同時に施行となった。

 

高年齢者雇用安定法は定年を過ぎた60歳以上の雇用を確保するため、これまでも

(1)定年の廃止

(2)定年の引き上げ

(3)継続雇用制度の導入――

のどれかを求めてきた。

 

しかし労使協定を結べば企業は再雇用基準を独自に決めることができたため、現時点では65歳まで希望者全員が働ける企業は全体の半分に届いていない。

 

改正法ではこの基準を撤廃した。

希望者全員を雇わなかった企業は公表され、場合によっては助成金を支給しないなどの措置も講じる。

継続雇用の対象外となるのは、健康上の問題を抱えるなどの場合に限る。

 

みずほ総合研究所の試算では、賃金水準を定年時の6割と仮定し、希望者全員を継続雇用すると2013年度の人件費総額は約3000億円増える。

さらに25年度には1・4兆円にまで膨らむとみている。

経団連の調査では約4割の企業が若年者の採用抑制を検討すると答えており、人件費増のしわ寄せは若年層に及ぶ懸念がある。

 

現役世代の賃金にも影響が出そうだ。

NTTグループは10月、65歳までの希望者全員を継続雇用するため新しい賃金制度を導入する。

40~50代を中心に賃金カーブの上昇を抑え、60歳以上の賃金原資とする。

まずはNTTドコモなど主要4社で14年3月末に60歳定年を迎える約1000人が継続雇用の対象となる。

 

今後、15歳以上の労働力人口は確実に減る。

厚労省の推計では経済のゼロ成長が続き、若者の就労支援策などの効果が出ない最悪のケースで、30年の労働力人口は10年の約6630万人から約950万人減る。

元気な高齢者の活用は不可欠だ。

 

樋口美雄慶大教授は

「残業や転勤がある代わりに給与や生活を終身保障してきた日本の雇用制度を見直す必要も出てくる」

と指摘する。

 

非正規社員の待遇改善を目指す改正労働契約法も1日施行した。

同じ職場で5年を超えて働くパートや契約社員が希望した場合、企業に無期雇用への転換を義務付ける。

 

イトーヨーカ堂は

「長期間働くパートはやる気があり、法改正は安定した雇用につながる」

としており、無期転換に応じる考えだ。

ただ、コスト余力の少ない中小企業を中心に、5年未満で契約を解除する「雇い止め」が増える恐れがある。

 

———-

 

改正高年齢者雇用安定法、改正労働契約法。

4月1日に施行された、雇用関連の労働法です。

 

試行されたばかりなので、影響等はこれからさらに話題になっていくかと思われます。

どちらも、大変重要な改正であり、非常に身近な話題であると思っています。

今後の動き、改正による変化など、色々注目ですよね。

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

レイヤードブログ一覧へ戻る