男の育休じわり拡大--2011年度取得率、最高の2.63%
11月20日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。
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男の育休じわり拡大――2011年度取得率、最高の2.63%
◇法改正が後押し/取りやすさは限定的
男性の育児休業取得がじわりと拡大している。
厚生労働省がまとめた男性の育休取得率は2011年度で2・63%と、まだ低いとはいえ前年度比でほぼ倍増し過去最高となった。
10年の改正育児・介護休業法による取得後押し効果も出てきているようだ。
「自分が長期の育児休業をとるとは思ってもみなかった」
と振り返るのは食品製造会社、日東ベストの千葉県船橋市の事業所で働く北野大樹さん(38)。
1年半にわたる第1子の娘の育休から今年4月に職場復帰したばかりだ。
◇専業主夫の職き
妻は職場の同僚。
娘が1歳になって妻が職場復帰するのと交代し、10年10月から育休に入った。
妻の深幸さんは
「1年で職場復帰するつもりだったが、子を受け入れてくれる保育園が見つからない待機児童状態だった」
といい、夫の育休取得は不可避だったと話す。
もともと大樹さんは家事に協力的で、育休中は朝夕の食事作りから掃除、洗濯など専業主夫として活躍した。
北野さん夫婦の場合、2人で育休を取得したのがミソ。
実は10年6月施行の改正育児・介護休業法では、男性の育児休業取得を後押しする改正も行われた。
「パパ・ママ育休プラス」という制度では、父母で交代するなどともに育休をとれば、原則1歳になるまで可能だった取得期間を1歳2カ月に延長。
配偶者が専業主婦(夫)でも育休を取得できるようにしたほか、父親は子の出生後8週以内に育休を取得すれば、特段の事情がなくても同じ子で2度目の育休を取得できるようにした。
大企業などではこうした法定の基準を上回る制度を整えるところも増えている。
日東ベストも子が3歳になるまで育休を取得可能で、北野さん夫妻も娘が2歳半になるまでは交代で育休をとった。
妻が専業主婦でも育休を取るケースは増えている。
東芝の東京都内の事業所で研究職として働く津田純一さん(44)は第2子の娘の出生後、今年3月まで約5カ月の育休を取った。
育休取得は09年の長男出生後に1カ月弱とったのに続き2回目だ。
専業主婦の妻について
「長男が生まれた時、夜泣きを繰り返すなど出産直後は母親がいかに大変かがよく分かった。
2人目の時は、子が落ち着くまでの半年ほどは育休を取りたいと考えていた」
と話す。
上司には出産の半年ほど前に育休取得の相談を持ちかけ
「最初は驚いていたが、理解してくれた。仕事の引き継ぎなどもスムーズにいくよう環境を整備してくれた」。
まずは短期の育休取得を後押しするケースも増えつつある。
出産前後に5日間までの有給の出産休暇を設けている三菱重工業では、昨年約1200人の男性社員が同休暇を取得。
今年は昨年を上回るペースだ。
子が生まれた男性社員の8割余りが取得し、その4割以上が土日などをつけて7~9日間は休んでいる。
経理部門で働く窪田実さん(仮名、38)は昨年、第3子が生まれた際、2回に分けて計9日休んだ。
現在9歳の第1子の時は2日間だけだったといい、まだ短期とはいえ育休取得への周囲の理解が急速に広がったと実感している。
◇社会状況の観察も
育休をとることで広がる世界もあるようだ。
昨年の男性の育休取得率が8%弱と高いアクセンチュアで働く香西秀樹さん(36)は共働きで、08年の長女の出生時に約半年、今年も長男出生に合わせて3カ月の育休をとった。
「仕事柄、何でも効率化を求めがちだったが、子どもには通用しない」
「近所でデイサービスの車を多く見かけ、高齢化が進んでいる現実を実感した」
といい、忍耐力の向上や普段は気づかない社会状況の観察などに役立ったようだ。
ただ男性の育休取得率は上昇したとはいえ、女性の87・8%と比べ格段に低く、取得期間も全般に短いのが現実。
ニッセイ基礎研究所の松浦民恵主任研究員は
「改正育児休業法は、専業主婦でも出産直後の大変な時に父親が育休をとれるようにするなど一定の評価はできる。
ただ男性も育休を取得しやすい雰囲気がある企業はまだ限定的」
と指摘。
慢性的な人手不足などとどう折り合いをつけるか、職場環境と意識の改善に向けて会社側の課題も多そうだ。
◇雇用保険加入者、育児休業で給付
育児休業取得で気になるのが、休んでいる間の収入だ。
育休中は原則、給与の支払いはない。
ただ1カ月弱など比較的短期であれば、積み立てていた有給休暇をこれに充てる形でしのぎ、無給を回避するケースが多いようだ。
長期の育休取得では、共働き世帯でなければ無給期間が生じる。
ただ育休中は無給でも、雇用保険の被保険者であれば1歳(保育園に入園できないなど事情があるときは1歳6カ月)に満たない子の養育で育児休業をとる場合、雇用保険加入期間など一定の要件を満たしていれば、育児休業給付が支給される。
支給額は
「休業開始時の賃金日額(上限あり)×支給日数×50%」
で算出する。
育児休業給付は個々の事情により異なるので最寄りのハローワークに問い合わせるとよい。
東芝の津田さんは約5カ月の育休中、育児休業給付と貯蓄の取り崩しなどでしのいだ。
それでも
「子どもと接する時間が十分とれてよかった」
と振り返る。
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男性の育児休暇取得が増えています。
一気に増える事はないでしょうが、じわりじわりと増えてきていますよね。